また「見直しを含めて検討する」も、検討するだけで、見直しを必ずするとはいっていないとなる。
まことに巧妙な言葉遣いである。 郵便貯金の民営化問題も、金融ビッグバンの時代には当然、推進されるべきものだが、これもすでに政治決着がついてしまって、当分の間、民営化の議論さえできない状態になっている。
ただ、今後は資金運用部に委託するのでなく、郵政省が郵便貯金で集めた資金を自主運用するようになった。 あるいは厚生年金の保険料収入も自主運用に変わる。
この結果、毎年巨額な資金が郵政省と厚生省に入るが、彼らが果たしてグローバルなマーケットで効率的に資金を運用することができるのだろうか。 金融のプロでもないし、資産運用のノウハウもない。
仮にリスキーな投資で大損が発生したとき、いったいどうなるのか。 結局は、国民にそのツケが回ってくることは確実である。
郵便貯金は元本保証なので、もし元金を割り込むような資産運用をしたときは、税金で補てんしようというのだろうか。 運用責任はどうなるのか。

このへんがあいまいで、担当者が代われば、誰も責任をとらないことになってしまう。 こういう素人集団に、何十兆円という巨額のおカネを預けること自体が、本当にいいことなのだろうか。
ところで、郵貯資金や厚生年金の保険料が大蔵省の資金運用部に預託されなくなった場合、日本道路公団、石油公団など政府特殊法人(財投機関)の運営資金はどうなるのだろうか。 「運営資金がなくなったので、歴史的役割を終えた特殊法人は解散する」ということになれば、日本政府もかなりのリストラができることになるが、そうは問屋がおろさない・大蔵省は「財投債」を売り出し、必要資金を集めようとしている。
もし、「財投債」が売り出され、それを郵政省や厚生省が郵貯や厚生年金の資金を使って購入するとしたら、なんのことはない、これまでの財政投融資の仕組みとまったく同じ構造が再現されてしまこのように財政投融資改革は表面的には少しは進んでいるように見えるが、実態はあま国の信用に基づいて一括調達される債券。 財政投融資改革によって郵便貯金や年金積立金の預託が廃止されると、資金運用部に十分な資金が流れ込まなくなる。
そこで国が財投債を発行して資金を調達しそれを財投機関に貸し出すというもの。 特殊法人を財投債を使って救済するようであれば、財投改革の趣旨は活かされなくなる。
このように、21世紀の日本経済を展望するとき、どうしてもそうしたマイナス面ばかりが頭に浮かんできてしまうが、しかし、著者はあえて、21世紀になれば、長期不況下の日本経済も本格的な回復軌道に乗ってくるとの見方をとっている。 その根拠は著者の歴史観ともいうべきものからきている。

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